マンション経営のメリット「節税効果」

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節税とは無縁のサラリーマンでも効果を享受できる⁉︎

法人や個人事業主であれば、売り上げから経費を差し引いたものが所得となり、所得税や住民税の課税のベースとなります。しかし、サラリーマンには経費が認められておらず、所得税や住民税の計算や手続きもすべて勤務先が行うので、節税対策とは無縁の関係にあります。しかし、マンション経営を始めるとサラリーマンでも経費を認めてもらえる権利を得ることができます。
ここではどのようなものが経費として認められ、どのくらいの節税効果があるのかをみてみることにしましょう。

マンション経営で認められる主な経費は次の3つです

  • 減価償却費
  • 借入金利
  • その他経費

ケース:
新築マンションの1室を2,000万円(全額ローン)で購入。価格の内訳は建物部分が70%(建物本体80%、設備20%)、土地部分が30%。この物件を家賃9万5,000円で賃貸に出した。

減価償却費

まずは、減価償却費についてみてみましょう。
減価償却が認められるのは経年劣化によって価値の下がっていく資産です。マンション経営の場合の資産は土地部分と建物部分に分けられますが、土地については経年劣化がないため減価償却することはできません。したがって減価償却できるのは建物部分だけということになります。
減価償却できる金額は建物部分の耐用年数によって変わってきます。建物の耐用年数はその構造・用途別ごとに税法に定められています。
マンションの場合は用途は「住宅」、構造はほとんどが「鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造・鉄筋コンクリート(RC)造」となりますので、新築の場合の耐用年数は「47年」で計算します。一方、築後法定耐用年数が経過していない中古マンションの場合は「法定耐用年数―築年数X80%」、築後法定耐用年数以上が経過している中古マンションの場合は「法定耐用年数X20%」で計算するルールとなっています。
実際の減価償却額は以下の式で計算します。

建物部分の取得価格X耐用年数ごとに定められた償却率*

*償却率表はここを参照(国税庁サイト)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070412/pdf/3.pdf

ただし、この建物部分の取得価格には「建物本体の価格」と「それに付随する設備部分の価格」が含まれており、それぞれに耐用年数が異なります。「設備部分」に含まれるのは、給排水設備やガス設備、エレベーターなどです。設備部分の耐用年数についても別途税法で定められていますが、給排水設備やガス設備、電気設備などは耐用年数15年と定められています。
先の表に照らしてみると、耐用年数47年の新築マンションの場合の償却率は0.022となります。また耐用年数15年の設備の償却率は0.067となっています。
仮に総額2,000万円で購入したマンションの建物部分の取得価格が1,400万円だったとして、そのうちの80%が建物本体、20%が設備部分であったと仮定すると、年間に減価償却できる額は次のような計算で求めることができます。

建物本体部分:
1,400万円 X 80% X 0.022=24万6,400円
設備部分:
1,400万円 X 20% X 0.067=18万7,600円

この金額が建物本体については47年間、設備部分については15年間、毎年減価償却費として計上できることになります。このように減価償却費には、一切お金を出さなくても所得を圧縮し、税額を削減できるというメリットがあります。

借入金利

次に借入金利についてみてみましょう。
2,000万円を年利2.2%の35年ローンで借り入れた場合の年間返済額は81万9,876円。うち利息部分は43万6,140円となります。
マンション経営で損金参入できる借入金利は建物部分にかかる金利分だけと定められていますので、支払利息の70%にあたる30万5,298円が経費として計上できることになります。

43万6,140円 X 70% = 30万5,298円

その他経費

最後はその他の必要経費です。
マンション経営を始めるための不動産取得にかかった費用や家賃収入を得るためにかかった費用を経費として計上することができます。ただし、マンション経営をするためにかけた費用であることを明確に区分できるようにしておかなければならないので注意が必要です。
経費として計上できる費用の例としては以下のようなものがあります。

  • 登記費用
  • 固定資産税
  • 管理費(保険含む)
  • 通信費(電話代など)
  • 旅費交通費(物件下見など)
  • 研究費(本の購入、セミナーの参加費など)
  • 消耗品費(事務用品など)

給与所得との損益通算

サラリーマンの方がマンション経営を始めると、以上のような経費を毎年確定申告にて計上することができるようになります。先の例でたとえば諸経費を登記費用なども含めてトータル80万円と仮定すると、年間合計で153万9,298円を経費として計上できることになります。

経費計上額:
減価償却費43万4,000円+建物部分金利負担分30万5,298円+諸経費80万円
=153万9,298円

不動産収入:
家賃9万5,000円X 12カ月 = 114万円

一方、収入は家賃が月9万5,000円なので不動産収入としては年間で114万円。差し引きすると不動産所得は39万9,298円の赤字ということになります。

給与所得が700万円のサラリーマンの場合で節税額を計算してみます。
所得税と住民税合わせて約8万円の税金が削減できたことがわかります。

マンション経営のメリット「節税効果」 イメージ02マンション経営のメリット「節税効果」 イメージ02

ここで実際のキャッシュフローを考えてみましょう。
経費計上額の減価償却費分はキャッシュアウトのない経費ですから、実際に出て行ったお金は「ローンの返済額」と「その他経費」です。合計すると161万9,876円となり、不動産収入の114万円と相殺すると約48万円の費用が発生したことになります。ここから節税できた額の約8万円を引くと年間でマンション経営に費やした実質コストは約40万円、月に直すと約3万3,000円です。つまり月々わずか3万3,000円で2,000万円の新築マンションを購入できたという計算となります。

ちなみに中古マンションの場合は減価償却費を計上できる年数が少なくなる代わりに1年に計上できる額が新築物件よりも非常に多くなります。
たとえば先の例の物件が新築ではなく築20年の物件だったとすると、減価償却費として計上できる額が147万2,800円と3倍以上に跳ね上がりますが、計上できる期間が設備部分が3年、建物本体部分が21年と短くなってしまいます。
参考までにこのケースの場合の節税できる額についても計算してみましょう。

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ご覧の通り減価償却費が上がる分だけ節税できる額も大きくなっています。
このケースをベースに実質負担額を計算してみると年間で198,661円、月あたり16,555円となり、新築を購入する場合に比べ、当初の3年間はかなり実質負担額を軽減できることがわかります。

以上、マンション経営を始めるとサラリーマンでも節税の効果を享受できるというお話でしたがいかがでしたでしょうか。とくに減価償却費を経費として計上できるというのは実際のキャッシュアウトを伴わずに節税効果を享受できるので効果は絶大です。また、所得額を圧縮する効果がありますから、住民税を基本にしている各自治体の制度にもよい影響をもたらすことがあります。たとえば児童手当支給の所得制限にかからなくなったり、保育園の保育料などが翌年から安くなったりします。また、新規に保育園に申し込みをしているときなどには、他の条件が同じならば前年の世帯年収が低い方が有利となります。
これらはマンション経営を始めることで得られるたくさんのメリットのうちのほんのひとつに過ぎません。マンション経営について気になり始めたという方はぜひ、他のコラムにも目を通してみることをおすすめします。